
60代・女性・無職
Q:3年前に夫が他界しました。定年したら夫婦で旅行やゴルフに行こうと約束していたのに、突然亡くなりました。娘が2人いますが、それぞれ忙しく電話しても「お母さん用件はなに?」と言われる始末です。今まで家族が生きがいでした。誰からも必要とされていないのなら、早くお迎えが来ないかと考えてしまいます。
A:最も辛い出来事の一つに連れ合いとの別れです。心の支えであり生活の支えであった人がいなくなる、その絶望感と喪失感は人生最大のストレスです。あなたはまだ60代で、あと20年元気かもしれないし、10年かも知れないです。ただ動かないで家のなかに閉じこもり過去を思い出して落込んだり、将来のことが心配であれこれ考えたりしても、必ず老いを迎えます。老眼になり、耳が遠くなり、頭が鈍くなります。それが老いの現象で、人は長生きすれば必ずそれを自覚します。しかし、生きている限り何らかの方法で人を思いやり、敬う心があれば、あなたの心は満たされます。
私は、毎朝家の前をはいて水を打ちます。ちょうど小学校の通学路で子どもたちが元気よく挨拶してくれます。ときどき下を向いて歩いている子どもに「打ち水する?」と声をかけます。すると子どもの顔がパッと明るくなり、私の家から3軒隣まで打ち水してくれます。ほんの3分くらいですが、子どもは笑顔で学校へ向かいます。私の平凡が、地域の子どもを見守り、夏の花が咲き、猫が日陰でまどろむ、一石三鳥です。
世の中に助けを必要としている人は大勢おります。あなたができる事はたくさんあるに違いないのです。ひととの出会いは、生きる力や励みになります。心が通い合う心地よさは、何も代えがたいです。まずは両隣3軒、打ち水からはじめてはいかがですか?